そもそもの過緊張となる原因は?

過緊張が身体に及ぼす影響は分かったのですが、ではなぜ、過緊張になってしまうのでしょうか?

原因までさかのぼりましょう。

どのような仕組みで過緊張が起っているのでしょうか?

それは「脳からの命令」です。

脳といっても、私たちが普段考え事をしたり何かを意識するときの「大脳」ではありません。無意識的に身体を調整している「小脳」や「脳幹」などのことです。

無意識の脳とは

脳の無意識な働きとは、例えば

  • 呼吸をする
  • 食べ物の消化
  • 暑い時に汗をかく
  • 心臓を動かす

これらは全て、無意識のうち(自律神経)の働きです

このように脳幹や小脳は、呼吸や心拍といった「基本的な生命維持」のために、無意識的に身体をコントロールしています。

そしてそれは、筋肉の緊張具合も同様なのです。

なんらかの原因で、脳が首周辺の筋肉は緊張する必要あり!命令したままになっていれば、ずっと緊張は解除されず、ゆるみません。

ですので、この「脳からの緊張指令」自体を解除しないことには、たとえ外からの力によって強引に筋肉の状態を変えた(壊した)としても、またもとの緊張状態が復活してしまいます。

揉みほぐしなどの単なるマッサージなどでは、意味がないのはこのためです。(むしろ長い目で見ると余計に緊張度が増すため、逆効果になります)

なぜ、脳は緊張スイッチをONにしたままなのか?

過緊張の原因

脳の暴走

長く続くストレスや痛みを受け続けた脳(扁桃体)が暴走(誤動作)を起こす事があるためです。

ストレスや患部では痛みがなどが治まっていても、脳自体はまだストレスや痛みを感じたままとなることがあるためです。当然、まだそのようなストレス状態で(思ってしまっている状態)は、当然、緊張状態を解く命令は出しません。

根本原因「脳が長く受け続けたストレス」とは

脳に影響を与えていたストレスの原因は下記の絵のようにたくさんあります。

悪い姿勢であったり、考えた方(全てにおいて正直一徹。常に100%きちんとやらねば・・・等)そして食事から睡眠までです。

日常生活の中で「何度も同じ状態が繰り返されることにより、脳もその状態を不要に学習してしまい、クセとして身についてしまっているのです。

緊張スイッチオン

 

脳の学習とは?

自転車に乗れる方に質問です。

あなたは自転車を運転中に「まずは右足でペダルを漕いで、次に左足のペダルを漕いで・・・」などと常に意識しながらはペダルを漕がないですよね!?

自転車の運転の練習当初ならいざ知らず、運転に慣れてからはいちいちそんな事は考えないですよね!たとえ数年ぶりに自転車に乗る場合でも、体が勝手に乗り方を覚えていますよね?

これは小脳(無意識の脳)が、体の使い方を学習しているからです。筋肉の過緊張も、同じ理屈です。特定の場所が緊張する経験を、継続的に何度も繰り返すことにより、過剰な緊張具合を体が覚えてしまっているわけです。

自転車

では、日常生活の中でどのような経験をすることで、脳が過緊張を学習してしまうのでしょうか?

例1)肉体的な疲労・ストレス

肉体的な疲労・ストレスです。

例えば、仕事で1日中パソコンに向かうデスクワークなどです。目、首、肩、手首、腰などの特定の箇所にばかり、負荷がかかっていますよね。

これが一時的で特別な1日ということであれば問題ありません。作業をやめればおさまります。疲労も休めば自然に回復します。

しかし、この状態が長時間、そして長期間繰り返すことによって、脳は「首や肩に負荷がかかったこの状態が、ふつうなんだ」と学習します。

目などは近くに焦点を当てっぱなしになってしまうほどです。

その結果、そのときの筋肉の緊張状態が脳にインプットされます。そうなると今度は、イスから立ち上がっても、うまく力が抜けません。

体の奥底(深層筋)では、緊張が続いています。それは無意識的に、延々と続くことになります。

あなたが休んでいるときも、寝ているときも、ずっと緊張し続けています。デスクワークの悪い姿勢

 

例2)長く続く精神的なストレス

長く続く精神的なストレスです。

ストレスを感じたときって、身体は必ず緊張してますよね。怒りで拳に力が入ったり、怖くて肩をすくめたり。

このような状況を何度も繰り返すと、同様に脳は学習し、クセになってしまいます。そうして、ストレスを感じないときですら、その緊張が抜けないようになってしまいます。

元々人間は長く続く精神的なストレスを耐えられるようにできていません。というか、長く続く精神的なストレスを受けるようになったのは、長い人の歴史からみればつい最近のことです。

チーター

動物で例えるなら、チーターに狙われたシマウマ。強烈なストレスです。でも、仮に逃げ切れたとしたら、そのストレスからすぐに開放されます。ずっと早いスピードで走り続けて永遠と追いかけてくるチーターなどいません。

全力では20秒ほど、距離にして400メートルほどしか全速力では走れません。

人間ももともとはこの程度の(と言っても生死かかっていますが!)短い時間のストレスだったはずです。

Power_harassment

今や、ストレスの元となるいや~な上司などは四六時中そばにいます。

精神的ストレスも一時的なことならば、大丈夫です。一時的に怒って泣いたり、わめき散らしたり、ということならば、クセづきません。そのような代償行為によってストレスを昇華しているからです。

ただ危険なのは、ずっとためこんでいたり、続いていることです。

この場合は、過緊張状態が身体にインプットされます。つまりクセになります。

例3)不自然な環境要因

3つ目は社会に溢れる様々な不自然なモノです。

人類の歴史は約600万年と言われていますが、ついここ100年ほどで、人類の生活は大きく変わっています。

今の世の中には、自然ではないものが溢れていますよ。自然でない食べ物、汚染された空気、電磁波、放射能、化学合成品、などなど。

例えば食べ物では、食品添加物、遺伝子組み換え食物、農薬、科学肥料などが溢れています。それらは身体にとって、異物です。その異物を体内で分解するのは大変です。交感神経が極端に上がり、同時に身体(筋肉)は緊張します。

食べ物に限らず、このような自然ではないモノたちや不規則な生活リズムなど、乱れたライフスタイルも同様です。

このような不自然なモノに浸され続けたり、不自然な生き方を続けていると、身体はそのときの緊張状態を学習してしまいます。

人類の進化

以上が、過緊張という片寄った命令を、脳が出してしまう理由です。

悪い「学習」をしてしまってるんためです。

意識せずとも自転車の運転ができるようになることと同じ原理です。

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